今日は、「アイディールブレーン株式会社」さんが開催した、公開免震実験にお招きいただいたので、筑波の防災科学技術研究所に行ってまいりました。
私は仕事の都合でほんの少し遅れて現地に到着したのですが、すでに準備は万端に整えられていて、猛者どもが地面が揺れるのを今か今かと待っている最中でございました。
そもそも、今回お招きいただいたアイディールブレーンさんというのは、第一回VIOPSの時にご紹介いただいた「μ-Solator(ミューソレーター)」という免震部材を開発・販売している会社さんで、このμ-Solatorの性能実験を今回ネットワーク、特にデータセンターの方々を対象として公開で行っていただいたものでした。このため、今回の実験ではデータセンターのフリーアクセスを模擬して、写真にあるように床を70センチほど上げ、その上にラックを置いた状態での実験となりました。
写真を見るとどこに免新機構があるのかちょっとわかりませんが、これが面白いところで、この部材、「部材」というだけあって従来あるような手の込んだ免新機構が一切ありません。フリーアクセスの下にパネルが敷き詰められていますが、この敷き詰めているパネルが免震用のパネルでこれだけで免震してしまおうという製品なのです。
今回の実験では、阪神淡路大震災の1.1倍の横揺れを加震して行なったわけですが、この単純な機構でしっかり免震ができているのに感心です。特にラックなんかは床面に固定しているわけでもなく、単に置いてあるだけなんですが、ほとんど影響なし。
ただ通常の免新機構だと、地震がおさまったあとはホームポジションというか、常に地震前の場所に戻るわけですが、この部材を使った場合、元に戻らないので、地震のあとはジャッキなどを使って元の位置に戻す必要があるのです。と言っても、それほど大がかりではなく、数人でジャッキを使って押してあげれば元に戻るので、楽ちん。だからといって通常時にツルっと動くほど簡単には動きませんが・・・。
最後は、この免震機構の揺れる部分を固定、つまり免震しないように固定して再度加震。その結果は写真の通り敷き詰めてあった部材が折れ曲がり、フリーアクセスも崩壊寸前。部材が折れたおかげで免震が復活してしまい、ラックが倒れたりと期待していたような派手な結果にはなりませんでしたが、逆に考えれば予想以上の揺れ幅の地震でも大きな影響が出ないということで、これまた感心してしまう結果となりました。
普通ではこのような大がかりな免震実験を目の当たりにすることがないので、大変良い見学となりまいた。ただ、聞くところによると、この部材、家の基礎の下にも使えるそうでそういう実験もしているそうです。なんとなく、この家を揺らす実験のほうが面白そうな気がしてなりませんが、今回はこれで満足しておきます。